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父親と母親のちがい

父親と母親のちがい

「人はそれぞれちがいます」というこんな簡単な事を私たちはよく忘れます。自分はこのように感じて、このように行動したから、他の人も同じように行動するだろう、すべきであると思ってしまいがちです。

 

父親と母親も大きなちがいがあります。このちがいをお互い理解した上で、子どもに対応すると比較的うまくいきます。自分はこう考えるので相手も同じように考えていると思わないで下さい。では両者はどうちがうのでしょうか?

 

母親は子どもが十月十日自分の体内に宿すこともあり、我が子は体の一部分としてこの世に生れてきたように感じます。出産後たとえ別々の存在になっても、一体感を持ち、自分の一部として子どもに愛情を注ぎます。子どもの喜びを自分のことのように喜び、子どもの失敗や不安を自分のことのように感じ、子どもを守ろうとします。一体感が強いがゆえに、感情的になったり、近視眼的になったりする方がいます。

 

父親は一般的に、母親ほど子どもの喜びや、悲しみを自分のことのように感じることはありません。だから感情的にもあまりなりにくく、比較的子どもの失敗、悲しみにも客観視でき、子どもがそれを経験して自立できるように対応もできます。長期的視点で子どもを見ようともします。もちろん個人差はありますが、父親と母親とはこのように違うと思います。

 

この違いを理解していないとややこしい問題が起こる時があります。あるお母さんが相談に来られました。お子様が学校で問題を起こしました。お母さんは問題を解決するために学校にも通い、担任の先生と何回も相談したようです。そして子どもに厳しく注意した後に、父親から「干渉しすぎ、ほっておいたら」と発言されました。お母さんはその時、「私は今、これだけ苦しんでいるのにこの人は何もしないで、ほっておいたらいいとは何事だ。なんて冷たい人なんだ」と感じたようです。そしてご主人のことが信じられなくなったそうです。

 

私は、お母さんの怒り、悲しみを理解して受け止めた後に、父親と母親との違いについて説明をしました。しばらくお話をした後に、お母さんは「父親と母親はちがうのですね。主人は冷たい人ではなく、自立心を持った子どもに育てるために言ったのですね」と理解されました。

 

別のお父さんからこんな相談もありました。お子様がある事情で県外の高校を受験するとのこと。お父さんには子どもに自分で考えて行動できる子どもに育ってほしいという思いがずっとあったので、「一人で前日にホテルに着き、朝自分で起きて、テスト会場に行って、テストを受けて帰ってくるように」と提案をしました。そしたら母親は「あんた何を言っているの、もし事故でもあったら、大切なテストはどうなるの。私がついて行く」と言い張りました。そして会場近くのホテルのツインルームを予約して、フロントの人に近くの病院の有無、会場までの交通機関、雪が降った時の対応、夕食、朝食の内容について詳しく質問をしていたそうです。テストが終わって帰ってきた時に、「やり過ぎ、干渉しすぎ」と文句を言ったら「あんたは子どものことが心配じゃないの」と言い返されてしまいました。それ以来、奥さんは話をしてくれないようです。

 

今回も話を充分に聴かせてもらってから父親と母親の違いについて説明をしたら、納得されました。「今日帰ってから嫁と話してみます」と言って帰られました。ちなみに高校3年生が県外の大学受験の為に母親が付き添うことは賛成しかねますが、高校入試の場合は初めての入試ということもあるので、しっかりご両親で話し合いをして対応してほしいと思います。このように人はちがいますし、父親と母親もちがいます。どちらの考えも子育てには大切ですので、このちがいをお互いが理解した上で子どもに向き合って欲しいと考えています。