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中1ショックと親の対応力

中1ショックと親の対応力

 中学1年生になると学校も先生もクラスメイトも変わりストレスが増加します。ゴールデンウィークで少し回復するものの、休みが終わると中間テストまで2週間。子どもにとってストレスのピークを迎える時期です。

 親から「しっかり頑張りなさい」というプレッシャーを受け、本人も「頑張って良い点を取らねば」と思います。でも英語の単語はなかなか覚えられない、地理の地名がややこしい、まだ数学は難しくないもののミスが多く思うようにいかない…。公立中学校に通う生徒にとって12年強の人生で初めてといってもいいような大きな波が押し寄せてきます。

 「やらねばならない」⇒「実行する」⇒「わかる」の好パターンなら何の問題もありません。でも「やらねばならない」⇒「実行する」⇒「わからない」になったり、「やらねばならない」⇒「できない」となると本人の焦りは増幅します。不安が続いたり、達成感が得られなかったりすると心の中にあるやる気パワーはどんどん減ってしまい、やがて枯渇してしまいます。しかし「やらねばならない」という気持ちは残っているので、心はどんどん疲れていきます。個人差はありますが、食欲がなくなったり、じんま疹が出たり、眠りが浅くなることもあります。これが「中1ショック」です。
 テストを前にして元気のなくなった我が子の姿を見ると、親としては不安になります。「しっかりしなさい」と注意をするものの、子どもに変化は見られません。親と同じ、いやそれ以上に子どもたちは「しっかりしないといけない」と思っているのに、親からそれを言われても動けない自分に対して余計につらくなります。

― 中1ショックと親の対応力 ―  

 事故で足を骨折して松葉杖をついている子どもに「早く走りなさい」とは言いませんが、心の骨が折れている子どもに「しっかりしなさい」と言ってしまいます。なぜなら足の骨折は症状が見えますが、心の中の骨折は見えません。ただ怠けているんだと思ってしまいます。さらにこの状態がいつまで続くのかという不安が親を焦らせます。
ほとんどの子どもたちは大なり小なりストレスを感じますが、どうにか乗り越えます。しかし約1割の子どもは「中1ショック」を経験します。

 ではどういう子どもが経験するのでしょうか?心が弱い子がなりやすいのでしょうか?実はそうではなく、親の期待に添うように頑張っている真面目な子がなりやすいのです。要領のいい子は上手に言い訳して勉強から離れることによってバランスを取るので「中1ショック」とは無縁です。
では「中1ショック」に陥ってしまったら親はどう対応したらいいのでしょうか。足を骨折したら、ギプスをはめてゆっくり休養を取ります。痛いのを我慢して、がんばって歩くより早く良くなります。「中1ショック」への対応も同じです。心が疲れている子どもに「しっかりしなさい!」と叱咤するのではなく、「ゆっくりしたら」と言ってあげて下さい。「テストの本番は3年生、今回は練習だから失敗してもいいか」と親がゆったり構えることができれば、子どもも楽になれます。

 テスト結果は良くないと思いますが、本人はとても残念に思っていますので、責めない方がいいです。点数があるだけでも必死で頑張ったんだと思って喜んであげて下さい。